そう簡単ではない!

ここのところ順調だった息子だったが、私が旅行に行っていたときにトラブルを起こした。
このまま良い状態が続くと思っていたのだが、やはりそう簡単には良くならない病気であると改めて思った。

「うつと気分障害」岡田 尊司著 幻冬舎新書
この中で印象に残ったところは

気分障害が増える原因
1. 単身世帯の急増と孤立する個人
2. 不安定で変動の激しい競争社会
   社会の不安定性を表す指標は、離婚率。離婚率が高い社会は、自殺率も高い傾向がみられる。
3. 楽しいことばかりを追求するライフスタイルには無理がある
   悲しみや落ち込みや失敗を受け入れ、共有する心理社会的絆の崩壊が、うつや気分障害に苦しむ人を増やしているかもしれない。
   一方で、自殺の防止を叫びながら、もう一方で、失敗することを許さない風潮が強まっている。
   本当に自殺を減らそうと思うのならば、一度や二度失敗しても挽回することができる、もう少し寛容で、
   懐の深い社会を目指す必要があるのではないか。
4. 高まる一方のストレス
5. 希望が持てない社会
6. 本当の豊かさを経験できない子供たち

第三部 気分障害を克服するライフスタイル
・うつや気分障害生活習慣病の一面をもつ
現代人にうつ病気分障害が急増している要因の一つに、現代人の急激なライフスタイルの変化が挙げられる。
ライフスタイルの変化は、睡眠や活動時間、食べ物や運動、社会生活や対人関係のもち方など、
われわれの生活全般に及び、百万年単位の長い時間をかけて進化する中で培ってきたライフスタイルを、
この数十年の間に覆すほど、急激で大きいものであった。
 ある意味では、われわれが身を守るために獲得してきた遺伝子や適応様式が、この急激な変化について
いけなくなり、齟齬(そご)をきしているのである。その意味、うつ病気分障害も、生活習慣病の一面をもつ。

・うつを防ぐ採集狩猟民の食生活
ライフスタイルを見直すことが、うつや気分障害の治療や予防において、意外に重要だと考える人も増えてきている。
その一つは栄養面の問題であり、近年注目されているのは、オメガ3脂肪酸である。
脳は水分を別にすれば、6割が脂肪から出来ている。神経細胞を包む膜を作り上げているのは、脂肪酸である。
オメガ3脂肪酸は、魚や野生の獣、葉野菜などに豊富に含まれている。採集狩猟民たちの日々の食生活は、
オメガ3脂肪酸の豊富な食事だと言える。現代の文明人の、五倍から十倍のオメガ3脂肪酸を摂取していたとも推測されている。
オメガ3脂肪酸をよく摂取している国々では、うつ病の有病率が低いというデータもある。
臨床的な研究も進められ、抗うつ薬で回復できなかった患者にオメガ3脂肪酸を投与したところ、
7割で改善が見られたとの報告もある(抗うつ薬のみでは、二割五分に止まった)。

オメガ3脂肪酸の中でも、うつ病の治療で重要なのは、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)である。
EPA−脳質の代謝の改善効果
DHA−健脳効果やアンチエイジング効果
割合をEPA2:DHA1で、一日当たりEPA1000ミリグラムに対して、DHAを500ミリグラム
摂取することが、推奨されている。効果が十分でない場合は、その倍量まで増量する。
このEPA2:DHA1という割合は、天然に存在するオメガ3脂肪酸の割合でもある。つまり、
特殊で高価なサプリメントを服用する必要はなく、安価に手に入る魚油(フィッシュ・オイル)で、
十分だとされる。その費用は、1ヶ月千円もかからない。
効果発現には個人差があり、1週間〜一ヶ月を要する。
アレルギーや慢性炎症性疾患、生活習慣病などへの副次的な効果も期待できるという。

ただ、まだ医学的な研究は、途上にあるのが現状で、一般の臨床医では、そうした治療に懐疑的な人の方が多い。
こうした療法は、アンチ薬物療法派の特殊な治療法とみなされ、白眼視さえ受けることがある。
ただ、そうした偏見を離れて、データを客観的に眺めた場合、そのメリットも認めて、よいところは取り入れる
ところが、患者の利益になるのではないかと思われる。

NHKあさイチ」でも「うつを食事で改善する!?」をやっていた。また、「20歳若返る力」にも
同じようなことが書いてあった。食べ物とうつ病には関係があるということが最近、話題になっている。