こんぼ亭月例会

12月8日は、こんぼ亭月例会で、「躁うつ病のことをもっと知りたい!」の講演でした。

ゲストは、理化学研究所脳科学総合研究センター加藤忠史先生でした。
内容は、1)双極性障害とは  2)双極Ⅰ型障害の病態と治療
3)双極Ⅱ型障害の病態と治療 4)研究の必要性  でした。

その中で印象に残ったことや、新たに学んだことは、

躁状態うつ状態が、平均5年の間隔をおいて繰り返す

・リチウム(気分安定薬)などの薬物療法と心理社会的治療で
かなりコントロールできる

・双極Ⅰ型障害とⅡ型障害の区別は、躁状態が入院するほど
重篤かどうか、また、遺伝的に背景が違う

・治療としては再発防止・維持療法で、
治療薬は、複数の気分安定薬、否定型向精神病薬

・原因は、神経細胞脆弱性ミトコンドリア機能障害(?)

・最初に出る症状としては、半数以上がうつ状態で、
そのうつ状態うつ病のうつと症状が全く同じため、
双極性障害の診断が困難であり、
双極性障害と診断されるのに平均8年かかる。

双極性障害に対し、抗うつ薬は「慎重投与」(操転、休息交代化)であり、
三環系抗うつ剤は使用しないよう注意する

躁状態で本人が受診したがらない場合の治療の導入
 ・身体の問題を取り上げる(不眠、身体が参っている)
 ・本人が信頼している人から説得してもらう
 ・妥協せずに説得し、意思に反した治療を行う際も
騙したりせず、きちんと宣言する

・推奨される治療(いずれも薬物療法との併用)
 ・心理教育―病気についての知識と注意点を学ぶこと
 ・対人関係―社会リズム療法
 ・家族療法

・双極性Ⅱ型障害の患者数は双極性Ⅰ型障害の患者数よりも多く、
治療が難しい
その理由としては、データが少なく確定的なことが言い難い、
現在では軽症の人が含まれ、多様化しているため

双極性障害の経過は、病相を繰り返す毎に間隔が短くなり、
次第にストレ脆弱性から急速交代型
これは、気分安定神経系の機能障害か変性が原因か(?)

そのほか、目指したい未来の双極性障害診療や研究の道筋など、
お話ありました。

また、理化学研究所脳科学総合研究センターでは
ゲノム研究参加者募集中です。
 ・病因で双極性障害と診断されている方
 ・ご両親も揃ってご協力くださる方
 ・遠方に在住の方もOK
 ・電話で研究の説明と診断の確認
 ・後は唾液を郵送で送っていただくだけ
 bipolar@brain.riken.jp にご連絡下さい。

双極性障害に参考になるサイトは、日本うつ病学会のHPです。
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/pdf/bd_kaisetsu.pdf