「こころの病について」

6月15日(土)は、区民向け精神保健福祉講座で「こころの病について」でした。
講師は、社会福祉法人おあしす福祉会理事長、平松謙一先生でした。

精神疾患を心の病として捉える今日の講座は、私にとても興味深かったです。

講座では、

心とは?心の病とは?(心を持つことは心が病む)

心の機能は、
・自己を意識し、他者を意識し、自己と他者の関係を意識する
・脳内(前頭前野)に、仮想的自己と仮想的世界をモデル化し、
現実と照合している

現実とモデル(理想)とのギャップ
・理想の世界(自己)と現実の世界(自己)のズレはしばしば生じる
・現実を修正しようとする、あるいは理想を修正しようとする
 (その時)
・現実を優先するのか、理想を優先するのか
・現実に従うのか、理想に従うのか

現実と理想の間で心が病む(悩む)
大きな困難に直面し、容易に解決できないと、特定の感情が大きくなって、
その特定の感情が心の大部分を占め、この状況から抜け出せなくなると、
⇒怒り、猜疑、強迫(もっとちゃんとやらなければならないなどの過剰の感情)、不安、抑うつ、諦めなどの心の変調が生じる

理想と現実のズレが大きくなり、一つの感情が支配し、繰り返して、持続すると
・怒り、猜疑、強迫、不安、抑うつ、諦め、自信欠乏、意欲低下が強くなる
・意識野の狭窄と考えようと思わなくても勝手に浮かんで考えてしまう自生思考が強まり、自己復元力(回復力)が低下する
・思考、感情、意欲、自律神経、睡眠、免疫、内分泌など心の変調が体調の変調へ進行する
                  ↓
           心の病は誰でもなる可能性の病気


大きな感情的な苦悩(苦痛)をかかえ、社会的役割を喪失すると
周囲への認識が変わり、今までと周りが何となく違う雰囲気に感じられ、
自分も、今までの自分と違うと感じられ、陽性症状がみられる

これは
混乱→過覚醒→感覚過敏→ドーパミンの過活性→自動思考

個体側の要因は、
・幼児期、学童期、思春期、青年期、成人期の成長過程の経験
・脳内システムの多様性と柔軟性
・経済的、身体的(健康)、時間的、社会的(社会的関係)などのゆとり

精神疾患にならないようにするには
・深刻な感情的苦痛を上手にコントロールし維持する
・信じてもらえる友達や仲間によって苦痛が和らげられる
・社会的役割を取り戻す
・経済的、身体的、時間的、社会的などの心の余裕を持つ
・ストレスを予防する、苦痛を軽減する脳内麻薬、エンドルフィンを分泌させる
 (エンドルフィンは運動、趣味、余暇など楽しいときに分泌する)

また、印象に残った話は
日本の精神疾患に使われている薬の量は、欧州などの5倍だそうです。
急性期では、日本の薬の量よりも多く使われることもあるそうですが、
症状が安定すれば、薬を減らすそうです。

この精神保健福祉講座は、6回シリーズで、他の区民の方でも参加できるそうですので、興味のある方は、ぜひ参加してみてください。
https://www.city.minato.tokyo.jp/kouhou/kuse/koho/minato2013/201305/20130511top/03.html